卵巣機能が弱まり、閉経前後5年を更新期と言います。平均的には45歳ごろから55歳ごろまでの間が更年期です。
卵巣には女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンとプロゲステロンという2種類のホルモンがあり、これらの作用によって生理が起こります。加齢によって卵巣機能が弱くなってくるとこれらのホルモンが低下してきます。特に、エストロゲンは体の様々な器官に作用しているため少なからず影響を受けます。(自律神経・悩・血管・皮膚・肝臓・骨・腸など) このため、多彩な症状があらわれることがあります。また、この時期は子育ても一段落したり、家庭や仕事の環境が変わったりと人生の過渡期にあり社会的なストレスを受けやすい時期でもあります。
今は人生100年時代。更年期は通過点、まだまだこれからです。
更年期症状は長きにわたることもあります。つらい症状は我慢せず、治療を受けるのも選択肢の一つです。
①ホルモン補充治療=HRT
女性ホルモンを補充します。ホットフラッシュや発汗などは即効性があります。
②漢方療法
身体全体をターゲットにします。自分に合う漢方薬を試しつつ探していきます。
③エクオール
イソフラボンの一つ。弱いエストロゲンの作用があります。副作用がなく安心して服用できます。
④点滴治療
ビタミンを中心とした栄養素を点滴します。
⑤プラセンタ注射
人間の胎盤から取り出した活性物質を注射します。
HRT(Hormone Replacement Therapy)は更年期のエストロゲン低下に伴って起こる多彩な症状に対してエストロゲンを補充する治療です。エストロゲン単独だと子宮内膜増殖作用があり子宮体癌のリスクが上がるため、これを抑制するためにもう一つの女性ホルモンであるプロゲステロンを併用します。ホルモン剤の種類には飲み薬・貼り薬・塗り薬・膣錠などいくつかのタイプがあり、投与方法も様々です。
1. 周期的併用投与法
2. 持続的併用投与法
【投与の流れ】
①問診
②検査
③再診(処方後1ヶ月)
④処方後
ピルと同様にエストロゲンと黄体ホルモンの組合せのため同じようなマイナートラブルも重大な合併症もあります。(ただし、避妊用のピルと比べてホルモン量はかなり低いです)